言葉にしたら落ち着けるのかな?
ゆうこが今まで出会った中でいちばん魅力的で不思議でキュートできれいで優しくてまっすぐで強くて弱くて細くて派手な赤が似合って、あーちがうこんなのじゃない。ちがう。あの場所で秋山さんに会うことはもうない。嘘みたい。さみしくて仕方がない。
電車の中で秋山さんが、口紅のついた煙草の話をして涙をこぼしたとき、本当は抱きしめてキスしたかった。わたしならそんな思いさせないと思った。
あーこんなのじゃないのに。落ち着くはずない。